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「毎月1万円ちょっとの持ち出しで、35年後にはマンションが1戸残ります」。
ワンルーム投資を勧められて迷ったとき、多くの人が思い浮かべるのが「その手出しを、NISAで積み立てたらどうなるのか」という疑問です。
ところが、比べるための前提がそろっていないと、どちらが有利なのかは判断できません。
この記事では、ワンルーム投資の毎月の持ち出しと同じ金額を、NISAで積み立てた場合と比較し、10年後・20年後・35年後に手元に残るお金を試算します。
この記事の結論
- 2,500万円・全額ローンのワンルーム投資の持ち出し(現実寄りで35年約1,114万円)を、同じ時期・同じ金額でNISAに積み立てて比較しました。
- 10年目に売る場合、ワンルーム投資の手残りは約18万円〜約−201万円で、NISA(年3%と仮定)の約233万円を下回りました。
- 35年後は、物件の売値しだいで逆転します。売値が約1,580万円ならワンルーム投資の手残りは約1,519万円、売値1,000万円なら約955万円で、NISA(年3%と仮定)は約1,822万円でした。
- NISAも運用成績によっては元本割れします。途中で売る可能性があるなら、持ち出しの多いワンルーム投資は買わない判断が合理的です。
ワンルーム投資の持ち出しを、NISAの積み立てと比較する前提
| 項目 | ワンルーム投資 | NISA |
|---|---|---|
| 毎月出すお金 | 持ち出し(現実寄り・35年で約1,114万円) | ワンルーム投資の持ち出しと同じ時期・同じ金額 |
| 増え方・減り方 | 物件の売値(仮定) | 運用利回り(年−1%・0%・3%・5%と仮定) |
| 比べるもの | 売ったときの手取り−ローン残債 | その時点の評価額 |
ワンルーム投資とNISAを比較するときは、同じ時期に同じ金額を出した場合にそろえると、違いが分かりやすくなります。
この記事では、ワンルーム投資で毎年払う持ち出しと同じ金額を、NISAで積み立てたと仮定しています。
ワンルーム投資の持ち出しは、年々増える積み立てと同じ
| 期間 | 月平均の持ち出し | 累計 |
|---|---|---|
| 1〜10年目 | 約17,000円 | 約204万円 |
| 11〜20年目 | 約28,600円 | 約547万円 |
| 21〜35年目 | 約31,500円 | 約1,114万円 |
ワンルーム投資の持ち出しは、毎月同じ金額ではありません。
家賃が少しずつ下がり、修繕積立金が段階的に上がり、空室や設備交換も起きるため、年数がたつほど持ち出しは大きくなります。
この記事の現実寄りの試算では、最初の10年は月平均約17,000円ですが、21年目以降は月3万円を超えました。
比較では、この増えていく持ち出しと同じ金額を、毎年NISAで積み立てたと考えます。
つまり、NISAの側も「最初は月1.7万円、後半は月3万円台」という積み立てになります。
35年で積み立てる元本は約1,114万円で、NISAの生涯の非課税枠(1,800万円)の範囲に収まります。
提案書の「月々数千円」で比べると、NISAの積み立て額も小さくなり、比較の結果が変わってしまうので注意してください。
持ち出しが35年でいくらになるかの詳しい計算は、月1万円・35年の持ち出しを検証した記事で解説しています。
ポイント
- 持ち出しは年々増えるので、NISAの積み立て額も同じように増やして比べる。
- 35年の積立元本は約1,114万円で、NISAの生涯枠の範囲内。
- 提案書の「月々数千円」で比べると、比較の結果がずれる。
NISAの制度と、この比較での運用利回りの仮定
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間投資枠 | つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円(合計360万円) |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 枠の再利用 | 売却した分の枠(取得時の価額)は翌年以降に再利用できる |
NISAは、2024年1月から制度が新しくなりました。
金融庁の資料によると、年間の投資枠はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、生涯の非課税保有限度額は1,800万円、非課税で持てる期間は無期限です。
NISA口座の外で投資信託や株式の売却益を得ると、原則として所得税・住民税などで約20%の税金がかかりますが、NISAではこれが非課税になります。
この比較では、運用利回りを年−1%・0%・3%・5%の4つで仮定しています。
これは将来の成績を予想したものではなく、あくまで比べるための仮定です。
投資信託などは値下がりすることもあり、NISAでも元本割れする可能性があります。
ワンルーム投資の側も、売値は誰にも分からないため、複数の売値で試算しています。
ポイント
- NISAは年間360万円、生涯1,800万円まで、期間無期限で非課税。
- 運用利回りは年−1%〜5%の仮定で、将来の予想ではない。
- NISAでも元本割れの可能性がある。
10年後・35年後で、ワンルーム投資の持ち出しとNISAの手残りを比較
| 時点 | ワンルーム投資(売った場合の手取り−残債) | NISA 年0% | NISA 年3% | NISA 年5% |
|---|---|---|---|---|
| 10年後 | 約18万円〜約−201万円 | 約204万円 | 約233万円 | 約256万円 |
| 20年後 | 約305万〜503万円 | 約547万円 | 約712万円 | 約858万円 |
| 35年後 | 約1,349万〜1,519万円 | 約1,114万円 | 約1,822万円 | 約2,616万円 |
表のワンルーム投資の幅は、物件の相場価格が購入価格より10%または20%低く、そこから毎年1%ずつ下がると仮定した場合です。
途中で売るか、35年持つかで、比較の結果は大きく変わります。
途中で売るなら、ワンルーム投資の持ち出しはNISAより不利になりやすい
| 項目 | 相場が購入価格の90% | 相場が購入価格の80% |
|---|---|---|
| 10年目の物件の価値 | 約2,035万円 | 約1,809万円 |
| 売ったときの手取り−ローン残債(約1,938万円) | 約18万円 | 約−201万円 |
| それまでの持ち出し | 約204万円 | 約204万円 |
| NISA(年3%と仮定)の評価額 | 約233万円 | 約233万円 |
10年目に売る場合、ワンルーム投資では、それまでに約204万円の持ち出しを払っています。
物件の相場が購入価格の90%で、そこから毎年1%下がると仮定すると、売ったときの手取りからローン残債を返して残るのは約18万円です。
相場が購入価格の80%なら、約201万円を手元のお金で返さないと売れません。
一方、同じ約204万円をNISAで積み立てていれば、年0%でも約204万円、年3%と仮定すれば約233万円が残ります。
ワンルーム投資は、買った直後の価格に販売会社の利益などが含まれ、35年ローンの残債は最初の10年ほどゆっくりしか減りません。
そのため、転勤・結婚・住宅購入などで途中で売る可能性がある人ほど、NISAとの比較では不利になりやすいといえます。
新築の価格と売値の差については、新築ワンルーム投資の持ち出しと「すぐ売ると損」の仕組みを解説した記事で詳しく試算しています。
ポイント
- 10年目に売ると、ワンルーム投資の手残りは約18万〜−201万円(試算)。
- 同じお金をNISAに回すと、年0%でも約204万円が残る。
- 途中で売る可能性がある人ほど、比較では不利になりやすい。
35年持つなら、比較の結果は物件の売値しだい
| 35年後の売値 | 売ったときの手取り | NISA 年3%(約1,822万円)との差 |
|---|---|---|
| 約1,583万円(相場90%から毎年1%下落) | 約1,519万円 | 約−303万円 |
| 1,000万円 | 約955万円 | 約−867万円 |
| 500万円 | 約472万円 | 約−1,350万円 |
35年持ってローンを返し終えると、ワンルーム投資では借金のない物件が1戸残ります。
その物件の売値が約1,583万円なら、売ったときの手取りは約1,519万円で、NISAが年0%〜1%程度の成績だった場合は、ワンルーム投資の方が多く残ります。
一方、NISAが年3%の成績なら約1,822万円で、NISAの方が約300万円多くなります。
また、築35年を超えたワンルームの売値は、立地や建物の管理状態によって大きく変わり、1,000万円や500万円を下回る可能性もあります。
つまり、35年後の比較は、物件の売値とNISAの運用成績という、どちらも予想できない2つの数字で決まります。
どちらかが必ず有利と言えるものではないため、「売値がいくらなら、NISAの何%と同じか」という見方で判断するのが現実的です。
完済後に売らずに家賃を受け取り続ける場合の試算は、年金代わりの説明を検証した記事で解説しています。
ポイント
- 35年後の比較は、物件の売値とNISAの成績で決まる。
- 売値約1,583万円なら、NISA年0〜1%程度よりは多く残る(試算)。
- 築35年超の売値は、立地と管理状態で大きく変わる。
提案された物件の持ち出しと売値の見込みを、別の会社にも見てもらいたい人へ
手元の提案書をもとに、販売会社とは別の会社の無料オンライン面談で、持ち出しと物件価格の妥当性を確かめてもらう方法もあります。
数字に出ない違い:ワンルーム投資の持ち出しとNISAを比較するときの注意点
| 項目 | ワンルーム投資 | NISA |
|---|---|---|
| 途中で引き出す | 売却が必要。売値が残債を下回ると手出しが必要 | 売却すれば引き出せる |
| 借金 | ローンを組む | 借金なし |
| 死亡時の保障 | 団体信用生命保険でローンが完済される | 保障なし(評価額は相続される) |
| 税金 | 赤字の年は所得税・住民税が減る場合がある。売却益には課税 | 運用益は非課税 |
ワンルーム投資の持ち出しには、団信や税金の効果もある
| 効果 | 確かめ方 |
|---|---|
| 団体信用生命保険(死亡・高度障害でローンが完済) | 同じ保障額の掛け捨て保険料と比べる |
| 不動産所得の赤字による所得税・住民税の減少 | 減価償却と利息を含めた赤字額×自分の税率で計算 |
| 完済後の家賃収入 | 家賃−管理費・修繕積立金・税金・空室で計算 |
公平に比較するなら、この記事の試算に入れていない、ワンルーム投資側の効果も考える必要があります。
1つ目は団体信用生命保険です。ローンの返済中に亡くなった場合などにローンが完済され、家族に借金のない物件が残ります。
この保障に価値を感じるなら、同じ保障額の掛け捨ての生命保険料と比べて、どのくらいの価値があるかを考えます。
2つ目は税金です。不動産所得が赤字になった年は、給与所得と合わせて所得税・住民税が減る場合があります。
ただし、税金が減る額は持ち出しより小さいことが多く、節税額がそのまま利益になるわけではありません。
また、物件を売って利益が出れば、譲渡所得として税金がかかる場合もあります。
保険の効果は生命保険代わりの説明を確かめる記事で、税金の効果は節税の説明を確かめる記事で、それぞれ詳しく解説しています。
ポイント
- 団信の保障は、同じ保障額の掛け捨て保険料と比べて評価する。
- 赤字で税金が減っても、持ち出しより小さいことが多い。
- 売却益が出れば、税金がかかる場合がある。
NISAとの比較で見落としやすい、ワンルーム投資の持ち出しのリスク
| リスク | ワンルーム投資 | NISA |
|---|---|---|
| 値下がり | 売値が下がる | 評価額が下がる(元本割れ) |
| 毎月の支払いが増える | 金利上昇・家賃下落・空室で持ち出しが増える | 積立額は自分で決められる |
| やめたいとき | 売るまでに時間がかかり、手出しが必要な場合も | 積み立てを止めたり、売ったりできる |
NISAとワンルーム投資は、どちらも値下がりのリスクがありますが、リスクの種類が違います。
NISAは、評価額が下がることはあっても、毎月の積立額は自分で決められ、家計が苦しくなれば積み立てを止めることもできます。
一方、ワンルーム投資は、金利の上昇や家賃の下落、空室によって、毎月の持ち出しが自分の意思と関係なく増えることがあります。
やめたいと思っても、売るまでに時間がかかり、売値がローン残債を下回れば手元のお金で穴埋めが必要です。
比較の数字が近い場合は、こうした「やめにくさ」や「支払いが増える可能性」を、自分がどこまで受け入れられるかで判断しましょう。
金利が上がったときの持ち出しの増え方は、金利上昇で持ち出しがいくら増えるかを試算した記事で解説しています。
ポイント
- NISAは積立額を自分で決められ、止めることもできる。
- ワンルーム投資は、金利や家賃しだいで持ち出しが増える。
- 数字が近いなら、やめにくさを受け入れられるかで判断する。
ワンルーム投資の持ち出しとNISAを比較して、買わない方がよい人・検討できる人
| ワンルーム投資を検討できる人 | 買わない方がよい人 |
|---|---|
| 35年以上持つ前提で、途中で売る予定がない | 転勤・結婚・住宅購入などで途中で売る可能性がある |
| 持ち出しを払っても、NISAの積み立てを続けられる | 持ち出しのためにNISAの積み立てを減らす |
| 物件の相場価格を確かめ、売値の見込みに納得している | 相場価格を確かめていない |
NISAと比較して、今はワンルーム投資を買わない方がよいケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 途中で売る可能性がある | 10年目に売ると、NISAより手残りが少ない試算 |
| 持ち出しでNISAの積み立てが減る | 非課税で増やせたはずの分を失う |
| 購入価格が相場より大幅に高い | 売値が下がり、35年後でもNISAに届きにくい |
| 持ち出しが増えたら家計が苦しい | 金利上昇や空室に耐えられない |
上のケースに当てはまるなら、NISAと比較したうえで、ワンルーム投資は今は買わない判断が合理的です。
特に、途中で売る可能性がある人は、この記事の試算のとおり、10年目に売るとNISAより手残りが少なくなりやすくなります。
また、持ち出しを払うためにNISAの積み立てを減らすと、非課税で増やせたはずの分を失うことになります。
両方を同時に続けられる家計かどうかを、先に確かめておきましょう。
見送ったとしても、NISAで資産形成を続けながら、条件の良い物件を待つことはできます。
購入価格が相場より大幅に高い場合は、35年後の売値も低くなりやすく、比較でNISAに届きにくくなります。
相場との差の確かめ方は、提案されたワンルーム投資が割高かを確かめる記事を参考にしてください。
ポイント
- 途中で売る可能性があるなら、見送りを検討する。
- 持ち出しのためにNISAの積み立てを減らさない。
- 相場より大幅に高い物件は、35年後でもNISAに届きにくい。
ワンルーム投資の持ち出しとNISAの比較を、別の会社にも見てもらう
| 相談できること | 手元の提案書をもとにした、収支シミュレーションと物件価格の確認 |
|---|---|
| 形式 | オンライン(Zoomなど)または対面。30分以上 |
| 費用 | 無料 |
| 注意点 | 面談先も不動産投資の事業者で、物件の紹介を受ける場合がある。年収の確認と融資の診断がある |
NISAとの比較で大きな差を生むのは、物件の購入価格が相場と比べて妥当か、そして持ち出しがいくらになるかです。
この2つを自分だけで判断しにくい場合は、提案している会社とは別の会社に、提案書を見てもらう方法があります。
ここで紹介する無料オンライン面談では、手元の提案書や物件資料をもとに、年収やライフプランに合わせた収支シミュレーションを作ってもらえます。
ただし、面談先も不動産投資の事業者であり、完全に中立な立場ではありません。
NISAなどほかの方法を勧める立場ではない点も、頭に入れておきましょう。
物件を紹介される場合もありますが、どの物件も買わず、NISAを選ぶという判断をしてもかまいません。
面談で聞いた数字は、この記事の比較表と見比べて、持ち出しの前提が同じかを確かめてください。
提案書の数字を入れて、持ち出しの総額を計算する
※ 3つの前提で比べます。
「提案書の前提」=家賃・管理費・修繕積立金が一定、空室・設備交換なし(固定資産税は含む)。
「現実寄り」=家賃が毎年0.5%下落、修繕積立金が5年ごとに段階的に上がり16年目に国土交通省ガイドラインの平均目安(335円/㎡・月)に到達、4年に1回1か月の空室と原状回復・募集費15万円、12年目と24年目に設備交換25万円。
「厳しめ」=現実寄り+家賃が毎年1%下落、6年目から金利が1%上昇。
所得税・住民税の増減は含みません。実際の収支は物件・契約・金融機関の条件で変わります。
ポイント
- 比較の差を生むのは、購入価格の妥当性と持ち出しの大きさ。
- 面談先も事業者で完全な中立ではなく、NISAを勧める立場でもない。
- どの物件も買わず、NISAを選ぶ判断も自由。
NISAと迷っている提案、契約する前に数字を確かめませんか
- 手元の提案書や物件資料をもとに相談できる
- 価格の妥当性と、年収に合わせた収支シミュレーションを確認できる
- オンラインで自宅から参加できる(無料)
【この記事の試算について】ワンルーム投資は、価格2,500万円・全額ローン(金利1.8%・35年・元利均等)、家賃90,000円、管理委託料5.5%、管理費7,000円、修繕積立金3,000円から16年目に8,375円(国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)の平均目安335円/㎡×25㎡)まで段階的に上昇、固定資産税など年6万円、家賃が毎年0.5%下落、4年に1回1か月の空室と原状回復・募集費15万円、12年目と24年目に設備交換25万円とした架空の試算です。物件の価値は、購入時の相場を購入価格の90%または80%とし、毎年1%下がると仮定しました。売却時は仲介手数料(売却額の3%+6万円、税込み)と抵当権抹消などの費用5万円を差し引いています。NISAは、ワンルーム投資の各年の持ち出しと同じ額を毎月均等に積み立て、運用利回りを年−1%・0%・3%・5%と仮定しました(年−1%の場合、35年後の評価額は約960万円)。どちらも所得税・住民税の増減、売却益への課税、購入時の諸費用、信託報酬などの手数料は含みません。NISAの制度は金融庁「NISAを知る」の資料(2026年10月確認)によります。